福留麻里×村社祐太朗「塒出」

福留麻里×村社祐太朗
「塒出」 京都公演

千葉の小都市の夏の盆踊り大会。
その風景と集う地域の人びと。そこから見え透く街の”言い淀み”。
福留麻里による村社祐太朗のテキストの上演。連綿と続く創作盆踊りと、その口から漏れる言葉。

2018年9月初演(横浜)し、テキストと身体の関係を探る新たな一手として注目を集めた公演がこの2019年11月に京都にて再演。

『塒出』横浜公演 批評(山﨑健太)

ステイトメント

作中に出てくる「大久保」は、大久保といっても新宿のそばのではなく習志野市にある方。日大津田沼キャンパスや東邦大に囲われた学園都市の方。京成大久保駅前の「学園おおくぼ商店街」で催される夏祭りでは、毎年郡上おどりが実施される。都内でもさほど数を見ない、郡上おどりを岐阜は郡上八幡から移入する集いは、こうして千葉県の小都市でもされる。踊ることが目指される集いには一定の吸引力がある。この線から向こうは遊びじゃないとか。教え教えられることがその時間のほとんどを占めるとか。そういうふうに、移入された踊りを些細な縁をてこに地域が生きようとする。『塒出』の語り手はその集いの中にいて、座りこけている長老の息遣いを見つめている。ここから汲み尽くせることは限られている。でもこれを続けることが最も良い策に思える。再演が決まってから、これは演劇の話だと考え始めた。無数の要素、どうだろうか遠目に、まばらに連帯の星座が浮かんでくる「催し」。同じようにパフォーマンスの背後には連帯がある。その内の相関図はすごく入り組んでいて、仮に暴こうと思うなら、同時にめまいがするくらい。それは町内会が孕んでいるのと比べていくらか簡明なのか。そんなことはないはず。ただ演出家にはそれが把握できるとされている。どうしてそんなことが出来るだろう。昨今上演の準備に身を浸すうち、連帯をどう呼吸させるかがわたしの関心なのだと思った。ここにいて欲しいと思うのは、彼女がここからすぐに出て行けてしまうからだ。そうやって生々しい膨張と収縮が繰り返されるうち、言葉は毎度迫ってくる。『塒出』はこのことに気づかせてくれる。ふと気づくと言葉には顔があって、その顔はわたしと似ていない。彼女は中の母親に手を振ろうか迷って、ついに振らずに部屋を出ていく。(村社祐太朗)

公演概要

【クレジット】

ダンス|福留麻里 テキスト|村社祐太朗(新聞家)

照明|吉本有輝子(真昼)イラスト|中島あかねウェブ|時里充制作|萩谷早枝子(STスポット)
助成|(公財)全国税理士共栄会文化財団協力|新聞家、真昼、STスポット主催|「塒出」実行委員会

【公演日程】

2019年11月2日(土)・11月3日(日)
11月2日(土)15:00/19:00◎
11月3日(日)15:00
*受付開始・開場は開演の20分前より

◎ アフタートーク
増田美佳
ダンサー / ゴーストライター。これまでに演劇、ダンス問わずさまざまな作品 に出演。近年は嵯峨実果子のゴーストライターとしても活動。『ミことば』で 平成 27 年度第 33 回世田谷文学賞 詩部門受賞。ウェブマガジン CLASSROOM Mag にてコラム「惑生探訪記」を連載中。http://classroom-mag.com 301 句 会所属。ジャンル横断的に活動する流動ユニット『mimacul(ミマカル)』主 宰。京都市立芸術大学非常勤講師。

【会場】

スタジオ ヴァリエ
〒606-8316京都市左京区吉田二本松町20-1
京阪本線「神宮丸太町」駅5番出口より 徒歩約20分
最寄りバス停『近衛通』より 徒歩約5分
[京都市バス] 31・65・201・206 系統[京阪バス] 56・56A系統[京都バス] 18系統

【チケット】

一般 2,500円  学生2,000円
*当日券は500円増
ご予約はこちら
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdsaX5vuv12yIeMGLmV5VsqcDPE4tdiDW5ng-fDNsVEx4Wglw/viewform

【お問合せ】

[tel] 080-1073-3446(制作はぎや/公演期間中のみ)
[mail]info.toyade@gmail.com

Profile

福留麻里:
ダンサー・振付家。1979年東京生まれ。2001年より新鋪美佳と共に身長155cmダンスデュオほうほう堂とし て活動。独自のダンスの更新を試みる。2014年よりソロ活動を開始。日常的な仕草やくり返せる動き、物の 感触や佇まい、無作為なスピード感など、身近なこと単純なことに動きのはじまりを見つけて踊る。

村社祐太朗:
新聞家主宰。演劇作家。1991年東京生まれ。2014年に作・演出した小作品が3331千代田芸術祭2014パフォーマンス部門で中村茜賞を受賞。上演の場に固有な身体を屹立させる特異なテキストは、演劇批評家の内野儀に「詩でもありパフォーマンスでもある」と評された。利賀演劇人コンクール2018奨励賞(岸田國士『屋上庭園』の演出)。2019年度より公益財団法人セゾン文化財団ジュニア・フェロー。近作にダンサーの福留麻里との共作『塒出』(2018)や、新聞家『遺影』(2019)など。

福留麻里×村社祐太朗
2018年2月「隙間を埋めるのにブロッコリーを使うまで」
(TPAM2018フリンジ参加)
ダンス:福留麻里 テキスト:村社祐太朗
会場:STスポット
全6ステージ 
主催:福留麻里、村社祐太朗
https://stspot.jp/schedule/?p=4111
隙間を埋めるのにブロッコリーを使うまで
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2018年9月「塒出」
(Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2018参加)
ダンス:福留麻里 テキスト:村社祐太朗
会場:STスポット
全5ステージ
共催:横浜アーツフェスティバル実行委員会
フェスティバル/トーキョー18連携プログラム
主催:STスポット
https://stspot.jp/schedule/?p=4657
*上演テキストの全文が「現代詩手帖2018年11月号(思潮社)」に掲載
福留麻里×村社祐太朗「塒出」

福留麻里×村社祐太朗「塒出」公開通しリハーサル

昨年9月にSTスポットにて上演した「塒出」を今年11月に京都にて再演いたします。
再演に向けて、公開通しリハーサルを行います。
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福留麻里×村社祐太朗「塒出」
ダンス:福留麻里  テキスト:村社祐太朗(新聞家)

日程:2019年10月15日(火)19:00~21:30
*開場は18:50より
*通しは45分程度、通し終了後はフィードバックを行います。

会場:STスポット 〒220-0004 横浜市西区北幸1-11-15 横浜STビル地下1階
参加費:1,000円(豆菓子・お茶付き)*当日会場にてお支払いください。

お申込み:下記フォームからお申込みください。
https://forms.gle/tYvtVhV9QwTAYeey9

お問合せ:塒出実行委員会[mail]info.toyade@gmail.com

協力:STスポット  主催:塒出実行委員会